楽曲制作をする際、より正確に音を確認するために使用するモニターイヤホン。音の遮断性に優れており、ライブで演奏者が使用することもあります。プロの作曲家や音楽家はもちろん、より上質な音楽を楽しみたいという一般の方にも人気ですよ。今回は用途に合わせた選び方とともに、おすすめのモニターイヤホンを紹介します。購入の際の参考にしてみてくださいね。
モニターイヤホンの特徴
通常イヤホンでは聞き取れない楽曲本来の音質を体験できる
モニターイヤホンと普通のイヤホンの最大の違いは音質です。楽曲制作では必ずモニタリングという作業が行われます。モニタリングとは、レコーディングした音や編集でMIXした音が理想通りのバランスや響きになっているかを確認する作業のことです。モニターイヤホンは、普通のイヤホンでは聞き取ることのできない細かい音を拾ってくれるのでモニタリングの時に役に立ちますよ。
高い遮音性で騒音や周りの音が気にならない
モニターイヤホンは周囲の騒音を遮断し、聴きたい音だけに集中することができます。ライブ会場などの周りの歓声や騒音が大きい場所で演奏する音楽家の方に最適。普段の生活の中で音楽だけに没頭する時間が欲しい方にも嬉しい機能です。
モニターイヤホンの種類
カナル型
耳に差し込んで装着するタイプ
カナル型は、一般的な耳栓のようにイヤーピースを耳の中にはめ込んで装着するタイプのイヤホンです。イヤーピースとはイヤホンの先端についている耳に差し込む部分のことを指しています。慣れると外れにくくて使いやすいのも特徴的です。
カナル型のイヤホンの特徴は遮音性に優れていることです。耳の中に直接はめ込むため、隙間から周囲の音が入ってくるのを防ぐことができます。イヤホンから流れる音が周囲に漏れる危険性も少ないので、電車やバスなどの静かな場所で使用するのにも適していますよ。
インナーイヤー型
耳の上側に引っ掛けて装着するタイプ
インナーイヤー型のイヤホンにはイヤーピースが付いていません。イヤホンを耳のくぼみに引っ掛けて装着するので、違和感なく装着することができますよ。耳に引っ掛けているだけなので、長時間使用しても痛くなりにくい点も魅力です。
インナーイヤー型のイヤホンは耳との間に隙間があるため周囲の音を聞きとることができます。街中でつけるときや周囲に気をつけなければならない状況でも安全に使用することが可能。イヤホンの着け心地は好みによって変わるので、自分に合った形状を選んでみてくださいね。
モニターイヤホンの選び方
使用目的で選ぶ
楽曲制作用なら原音再生を重視したモデル
楽曲制作でイヤホンを使用する場合、録音した音源をいかに生音に近く高音質で聴けるかがポイント。生音に近い音を聞くためには、低音域から高音域まで歪みなく均一に聴き分ける必要があります。通常のイヤホンは低音域を強調して流したり、左右で差をつけたりしているため、楽曲制作に使用するなら原音再生に特化したモニターイヤホンを選ぶといいですよ。
ライブ演奏用なら遮音性の高さを重視したモデル
ライブ演奏中は、観客の歓声や自分の出した音の反響によってリズムがずれたりセッションがうまくいかなかったりする時がありますよね。多くのバンドは事前に収録した音源をスピーカーで流し、音源と演奏がずれないようにイヤホンでメトロノームの音を聴きながら演奏しています。そのため、遮音性に優れたフィット感の良いモニターイヤホンを選ぶといいですよ。
普段使いなら音のバランス調節が可能なモデル
出先で周囲の音を完全に遮断してしまうととても危険ですよね。少なくとも自分の周辺の音は聴きとれるようにしたいけれど、音質にはこだわりたいという方は少なくありません。そのようなときは、遮音性はあるけれども外部音もきちんと拾い、外部音による音質の劣化を防ぐ特殊なフィルターがあるモデルがおすすめです。また、防水機能に着目してみるのも良いですよ。
駆動方式で選ぶ
音質にこだわりがないなら力強いダイナミック型
ダイナミック型とは、電気信号を音にする装置の構造の1つです。イヤホンの内部にあり、ドライバーと呼ばれます。ダイナミック型は低音の響きが良く、迫力ある音を楽しめることが特徴。その反面、他のタイプに比べて音質は低いです。一般的に使われているドライバーなので、価格や形状、サイズなど種類が豊富で自分に合ったものを選ぶことができますよ。
より鮮明に音を聴き分けたいなら繊細なバランスドアーマチュア型
解像度が高いドライバーを使用したバランスアーマチュア型。細部まで音を聞き分けることができ、中高音の響きを得意とします。しかし、低音域の響きが悪く、価格もダイナミック型に比べると高価な側面も。小型で鮮明な音質を実現しているため、プロの音楽家や作曲家など、音質にこだわりたい方におすすめのモニターイヤホンですよ。
価格は高くても欠点のない音が聞きたいならハイブリッド型
ハイブリッド型はダイナミック型とバランスアーマチュア型の両方のドライバーをあわせ持つモニターイヤホンです。高音質で迫力があり、低音から高音まで幅広い音を鮮明に聴き分けることができます。ダイナミック型とバランスアーマチュア型の良いところを組み合わせた、欠点の無い最強のドライバー。価格は比較的に高いので、全てにおいてこだわりたい方におすすめです。
イヤーピース素材で選ぶ
耐久性で選ぶならシリコンタイプ
シリコンタイプのイヤーピースは水にも強く耐久性も高めです。サイズはSサイズからLLサイズまで豊富で形状も様々なものが展開されています。また、シリコン製なので汚れても水で洗うことができるのも特徴の1つですよ。その反面、耳に合ったものを選ばないと密着度が低くなり外れやすくなったり、耳が痛くなったりしてしまうことも。自分に合った適切なサイズを選ぶと良いですよ。
フィット感を求めるならフォームタイプ
フォームタイプは低反発の素材が使われているイヤホンで、装着すると耳の形に合わせて変化するので耳にフィットします。密閉度が高く音漏れを防ぐことができる点も魅力。シリコンタイプのイヤホンとは違い、耐久性が低く水洗いができません。長く使うなら、定期的なイヤーピースの買い換えが必要です。自分の好みやフィット感はもちろん、持っているイヤホンに取り付け可能か、ケースに入るかなどもチェックしておくといいですよ。
機能で選ぶ
インピーダンスが25Ω以下ならスマホで音楽視聴時にノイズが入りにくい
インピーダンスとは交流回路の抵抗値のことで、大きくなるにつれ出力が下がり、ノイズが少なくなります。逆に、小さくなるにつれて出力は大きくなりノイズも含まれやすくなります。しかし、イヤホンのインピーダンスは接続する機器との相性もあるので、数値で一概に良いか悪いかを判断することはできません。スマホのような小型の機器ではインピーダンスが高すぎると音が聞こえなくなってしまうので、25Ω以下かどうかを目安に選ぶといいですよ。
クリップ付きなら移動時にケーブルが揺れないように防げる
イヤホンのケーブルは絡まりやすく収納時も使用時も厄介ですよね。クリップ付きのイヤホンなら持ち運ぶ際に絡まることがなく、使用中は余分なケーブルを巻き付けることができるため、引っかかる心配もありません。収納時にケーブルを結ぶと、接続部分付近でケーブルが痛み、使えなくなってしまうことがあります。長く使用するためにも、クリップ付きのものを選んでおくと安心ですよ。
モニターイヤホンのおすすめブランド・メーカー
SHURE(シュア)
古くから世界中の音楽家に愛されるアメリカのメーカー
世界中のプロから愛用されているSHUREのオーディオ機器は音楽鑑賞用からモニター用、ライブ用まで幅広く展開されています。ロングセラーのシリーズ商品が多く、使いやすさと品質の良さから長年愛用するファンが多くいますよ。種類が多く価格帯も様々なので、自分に合ったモニターイヤホンが見つかります。
SONY(ソニー)
高品質で音質に優れた日本のメーカー
誰もが知る日本のメーカーSONY。日本の確かな技術力と品質の良さは世界でも認められています。プロ用のモニターイヤホンは品質と耐久性に優れているため、価格も比較的高く設定されています。信頼のあるメーカーなので、長く愛用できるこだわりのモニターイヤホンを探している方におすすめですよ。
SENNHEISER(ゼンハイザー)
観賞用からライブ、モニター用まで幅広く展開するドイツの老舗メーカー
SENNHEISERはドイツの有名なオーディオメーカーで観賞用からプロ用まで、様々なモニターイヤホンを販売しています。比較的安価なモニターイヤホンも販売しており、手が出しやすいのも特徴ですよ。原音再生能力が高いので、モニタリング用で使用する方や補正されていないライブの臨場感を楽しみたい方におすすめです。
Yinyoo(インユー)
リーズナブルな価格で高品質のモニターイヤホンが手に入る
高品質ながら手が出しやすい価格のモニターイヤホンを取り揃えている中国のメーカー。デザイン性や音のバランスが優れており観賞用やライブ用にぴったりですよ。高性能のモニターイヤホンが欲しいけど価格は抑えたい方に最適です。
おすすめ&人気のモニターイヤホンランキング
音質でおすすめのモニターイヤホン
Etymotic Reserch-ER4SR (49,460円)
原音再生能力に優れモニタリングに最適
楽曲制作用に開発されたEtymotic Reserchのモニターイヤホン。低音から超高音まで、歪みのない均一なサウンドにより再現することができます。ボリュームを上げてもクリアなサウンドで聴くことができるのも特徴の1つですよ。
ドライバーはバランスドアーマチュア型でインピーダンスは45Ω。イヤーピースは3フランジ・イヤーパッドというEtymotic Reserch独自の形状で、しっかりと耳に密着してくれます。予備のイヤーピースやポーチなどの充実した付属品も魅力。
JVC-HA-FX1100 WOODシリーズ (27,556円)
木をモチーフにした豊かな響きでクラシックやジャズを聴くのに最適
CDよりも高解像度なハイレゾにも対応した、高音質のモニターイヤホンです。振動版に木を使用し、独自の技術で深みと温かみのあるサウンドを実現します。電子機器を使わないピアノやバイオリンなどの楽器演奏を聴くのに適したモニターイヤホンですよ。
重厚感のある低音の響きが特徴的で、音を立体的に感じることができます。ドライバーはダイナミック型でインピーダンスは16Ω。シリコン素材のイヤーピースは音質劣化を防ぐ特殊な構造を採用しており、付属品にはソフトなフィット感が特徴の低反発イヤーピースがあります。
SENNHEISER-IE 80 S (41,525円)
イヤーピースを変えることで好みの周波数特性を選べる
ネオジウムマグネットを採用したダイナミックスピーカーシステムを使用することで、高い精度と明瞭度を実現しています。付属品にシリコン素材のイヤーピースとフォームタイプのイヤーピースが入っており、好みの方を選ぶことができます。ケーブルは着脱式で、別売りのリモコン付きケーブルと組み合わせることもできますよ。
ドライバーはダイナミック型でインピーダンスは16Ω。遮断性にも優れており、周りの騒音を気にせず音楽を楽しむことができます。モニタリングにも使用できる音質を実現しているので、モニター用と普段使い用どちらにも使えるモニターイヤホンを探している方におすすめですよ。
SONY-XBA N3 Q (29,491円)
SONY独自の技術を駆使したハイブリッドドライバーで原音をそのまま再現
高音には小型のバランスドアーマチュアドライバーを使用、低音には小型のダイナミックドライバーを使用することで、生音を全音域均一に再現することを可能にしています。素材に真鍮を使用しているため、伸びやかな中高音が特徴。モニター用として最適なモニターイヤホンですよ。
ドライバーはハイブリッド型でインピーダンスは16Ω。着脱式のケーブルなので取り換えも可能です。付属品にクリップも付いており、ケーブルの絡まりを防ぐことができます。持ち運びに便利なキャリングケースがついているのも嬉しいですよね。
audio-technica -ATH-E40 (12,700円)
独自の技術で広帯域再生を実現したモニタリング用のモニターイヤホン
モニタリングで使えるようにプロフェッショナル仕様にaudio-technica独自の技術で開発されたモニターイヤホン。ケーブルが自由に調整できるようになっており、長時間の作業でも疲れを感じさせません。価格も比較的安価なので手を出しやすいですよ。
ダイナミック型のドライバーを使用しており、インピーダンスは12Ωです。着脱可能なケーブルなので、万が一ケーブルが破損してしまっても取り換えることができますよ。L字型プラグでケーブルの破損を最小限に抑える設計になっています。
遮音性でおすすめのモニターイヤホン
SHURE-SE215 Special Edition (12,601円)
高品質なのにリーズナブルな価格のモニターイヤホン
高遮音性のイヤパッドで周囲の騒音を最大37dBまで遮断することができるモニターイヤホンです。普段の生活で使用しやすいようにケーブルが短めに設計されていますよ。高品質な上に手を出しやすい価格設定なので、初めてモニターイヤホンを買う方にもおすすめです。
ドライバーはハイブリッド型でインピーダンスは17Ω。重厚感のある低音が特徴的でプロ用としても申し分なく使えるクオリティです。軽量で装着時にはケーブルを耳の上に引っ掛けることができるため長時間使用しても疲れを感じにくいですよ。
MACKIE–MP-240 (26,070円)
高い遮音性でライブ用に最適なモニターイヤホン
ステージ上のアーティストが最上級のパフォーマンスを実現できるように開発されたMACKIEのモニターイヤホン。高性能の遮音性に加え、優れた原音再生能力持ち合わせているのが特徴です。ステージ上だけでなく、プロのモニタリングにも普段のリスニングにも使うことができますよ。
ドライバーはハイブリッド型でインピーダンスは16Ω。イヤーピースを3つの素材をそれぞれ3サイズ、計9個の中から選べるので最上級のフィット感を実現できます。動いても耳から外れにくい設計が施されているので、安心してライブに集中することができますよ。
SONY-MDR-EX800ST (22,000円)
ソニーミュージックスタジオと共同で開発されたモニターイヤホン
数々のライブやレコーディングを行っているソニーミュージックスタジオと共同開発されています。そのため、ライブやレコーディングに適した設計が施されたプロフェッショナル仕様になっています。ライブやレコーディングに最適なモニターイヤホンを探している方におすすめですよ。
ドライバーは密閉ダイナミック型でインピーダンスは16Ω。耳の形状に合わせて調整できるイヤーハンガーがついており耐久性も高いためイヤホンを気にすることなくライブに集中できます。原音再現能力も高いためモニタリングとライブの両方兼用として使用できますよ。
SONY-IER-M9 (142,800円)
ライブにもモニター用にも使えるプロフェッショナル仕様のモニターイヤホン
部品の素材にこだわり抜いており、きめ細かな音まで再現することができるモニターイヤホンです。ハイレゾ音源にも対応しており、ロックからクラシックまで幅広い音楽ジャンルに適しています。価格はかなり高めに設定されているので、値段に関係なく高性能のプロ用モニターイヤホンを探している方におすすめですよ。
ハイブリッド型のドライバーを使用しておりインピーダンスは20Ωです。遮音性にも優れており、ライブに必要な要素を全て兼ね備えています。耐久性が高くケーブルの取り換え可能なので、一度購入すれば長く使用できますよ。
MACKIE-MP-120 (13,110円)
人間工学的に設計された高い遮音性を誇るモニターイヤホン
人間工学の観点から設計が施された、高い遮音性と着け心地の良い装着感が特徴のモニターイヤホン。ボーカル領域の明瞭度が高く、ライブにも最適です。ケーブルの脱着が可能なので、壊れた場合も取り換えることができますよ。
ドライバーはダイナミック型を使用しておりインピーダンスは32Ωです。ハードケースが付属しているためもち運びにも便利で壊れる心配もありません。ライブ用だけでなく普段の音楽鑑賞用にも十分な音質なので、どちらにも使えるモニターイヤホンを探している方におすすめですよ。
装着感でおすすめのモニターイヤホン
SONY-SBH82D-B (7,710円)
モニターイヤホンでは珍しいワイヤレス型のオープンイヤーイヤホン
耳をふさがないオープンイヤースタイルで、周囲の音を聞きながらも音楽を楽しむことができるモニターイヤホンです。通勤や通学時、人と話しながらでも安全に使うことができますよ。SONY独自の技術により、耳をふさがなくても鼓膜にダイレクトに音を届ける設計になっているため、音漏れの心配もありません。
ダイナミックオープン型のドライバーを使用しており、誰にでもフィットするように耳の下からひっかけて装着する設計になっています。重量も軽く長時間使用しても疲れませんよ。柔軟性のある素材でできているためコンパクトに折りたたむことができ、持ち運びにも便利です。
SENNHEISER-IE 40 PRO (14,300円)
耳掛け型の設計で疲れにくくライブにもモニタリングにも使える
耳の後ろにケーブルを引っ掛けるデザインで、長時間つけていても疲れを感じさせません。また、遮音性に優れ、耐久性も高いのでステージ上のハードな環境にも耐えることができますよ。均一で歪みのない原音再現を実現しているため、モニター用としても使用することができます。
ドライバーはダイナミック型でインピーダンスは20Ω。ソフトケースとシリコン素材とフォーム型のイヤーピースがそれぞれ入っており付属品も充実しています。装着感が良く、ライブにもモニタリングにも使えるモニターイヤホンを探している方におすすめですよ。
Yinyoo-TRI Starsea(15,320円)
2種類のドライバーを使用した原音再生にこだわったモニターイヤホン
2基のバランスドアーマチュアドライバーと1基のダイナミックドライバーユニットを内蔵した、トリプルドライバーを採用しています。インピーダンスは9.5Ω。原音の再現を重視しており、リアルで現場にいるような音楽の臨場感を感じられます。
サウンドチューニングスイッチを両側に備えているため、自分の好みに応じてサウンドを変えることができます。カナル型のモニターイヤホンで、様々なサイズのイヤーピースが付属品で入っているため、自分の耳に合ったものを選ぶことができます。カナル型のイヤホンで装着感の良いものを探している方におすすめですよ。
まとめ
用途に合わせた性能を持つモニターイヤホンがおすすめ
モニターイヤホンは主に普段の音楽鑑賞用、モニター用、ライブ用の3つの用途に分けられます。それぞれの用途によって重視する性能が全く違うため、どのような目的でモニターイヤホンを使うかを考えるといいですね。また、性能だけでなく使い心地や好みのイヤーピースの素材なども考慮すると自分に合った使いやすいモニターイヤホンを手に入れることができますよ。