日本古来の武道の1つとして根強い人気を誇る弓道。学校での部活として盛んな場所もあれば、大人になってからの趣味として楽しむ方もいます。また、使う弓によって相性があったり、見た目の美しさが変わったりします。そのため、弓道弓は慎重に選びたいところですよね。そこで今回は、おすすめの弓道弓をランキング形式で紹介します。選び方やお手入れの方法も合わせて解説しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
弓道弓の特徴
上長下短の形が持ち手への負担を減らす
一般的な弓道弓の全長はおよそ221cmです。上は下よりも2倍近くの長さがあり、上長下短の形をしています。これは矢を放ったときの振動が丁度握り手の部分に収束するため、使用者への負担が軽減する構造になっているのです。
反発力の違いを利用すると矢の飛び方が変化する
弓道上級者の中では、上長下短の形から来る反発力の違いを上手に利用します。すると、矢の飛距離が伸びたり、スピードが速くなったりするのです。見た目の美しさだけでなく、機能性にも優れた弓といえますね。
弓道弓の種類
竹弓
弓道としての品格に優れ使うほどに味が出る
その名のとおり、竹を素材としている弓です。日本古来の伝統的な形のため、本物志向の方は欲しくなるところでしょう。しかし、弓道初心者にはあまりおすすめできません。なぜなら、美しい状態を保つためには、思っている以上に細やかな配慮が必要だからです。
竹は本来、天然素材のため、気温や湿度に影響されやすい性質があります。湿気の多い日本では、より一層入念な手入れが必要です。値段も中々張るので、弓道弓はなるべく長持ちさせたいところ。詳しい方法は最後に解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
グラス弓
耐久性に優れ初心者にも扱いやすい
ガラス繊維で作られたグラス弓は、形が変化しにくい性質があります。弾力性にも富み、矢が飛びやすい点は初心者にぴったりです。値段も比較的リーズナブルなことが多いので、これから趣味として始めたいという方にもおすすめの弓道弓といえます。
一方、振動が大きくなることから、弓道弓を必要以上に強く握りこんでしまう可能性があります。この点は練習を重ねるうちに加減を覚えていきますが、手を傷めないようにしてくださいね。また、表面はガラス繊維でも中央の芯は木材を使用しているため、湿気には気をつけましょう。
カーボン弓
的中率に優れ学生から上級者まで幅広く愛用
炭素繊維で作られたカーボン弓は、グラス弓よりも更に耐久性がある一方で、非常に軽い点が大きなメリットです。しかし、人によっては軽いことが災いして扱いにくく、射形が乱れやすくなることもあります。こちらは射形の乱れを意識して練習することで、徐々に改善できます。
また、矢飛びが非常に良いので、的中率が高いのも特徴です。その分反動が強いですが、カーボン弓の耐久性はそれだけでは崩れません。中には20年以上同じカーボン弓を使用していても問題がないという方がいるほど。値段は高めの設定が多いので、予算十分という方におすすめです。
弓道弓の選び方
身長に合わせて選ぶ
身長170cm以下なら並寸や三寸詰を
全体的に長めの弓道弓ですが、自分の身長に合わせて選ぶことができます。一般的に使用されることが多い並寸は全長221cmで、身長170cm以下の方におすすめです。身長155cm以下の場合は、それよりも小さい三寸詰と呼ばれる全長212cmの弓道弓が丁度いいでしょう。自分に合った弓道弓は弓の引きやすさを左右する一因となるので、しっかり合わせておきたいものですね。
身長170cm以上なら二寸伸以上を
一方、身長170cm以上の方には二寸伸と呼ばれる弓道弓がおすすめです。全長は227cmとなっており、並寸よりも5cm程長くなります。また、身長175cmから180cmの方は三寸伸、身長185cm以上の方は四寸伸と呼ばれる大型の弓道弓もあります。こちらも、自分の身長をしっかり把握した上で選びたいですね。
弓の引きやすさで選ぶ
男性なら弓力10kgから
どんなに矢飛びが良い弓道弓を選んでも、弓をしっかり引くことができなければ宝の持ち腐れ。そうならないためにも、自分の弓力を把握しましょう。矢をつがえずに素引きしてみて、肩まで手を引いたときの感触で判断します。引き手がきつく感じない程の強さが目安なため、男性では弓力10kg程から始めるとちょうどいいですよ。
女性なら弓力8kgから
一方、女性は平均的に男性よりも筋肉量が少ないため、8kgから始めることをおすすめします。せっかく始めたのに体を壊してしまってはもったいないので、弓力の弱いものからゆっくり挑戦していきましょう。上手く引けないからと肘を強くひねったり、手首の力だけで引いたりしないように射型から力をつけていく気持ちで望んだ方がいいですね。
重視するもので選ぶ
的中率を上げたいなら矢飛びのよいものを
弓道を極めるにあたり、最初に目標とすることが多いのが的の中央を捉えることです。特に学生で弓道に取り組む場合は、的中率を一番上げたいところ。この場合は矢飛びの良い弓道弓がおすすめです。矢飛びが良い分、反動の強い弓道弓が多い点がややデメリットになりますが、練習次第ではその反動を制御できます。長期的に使用する予定の方にはぴったりです。
射形を美しくしたいならしなやかな一文字弓を
一方、弓を構えたときや矢を放った後の射形を重視したい方は、引きやすくて反動の少ない弓道弓がおすすめです。特に一文字弓と呼ばれる弓道弓は非常にしなやかで、握り手の中で安定します。また、力が弱くて反動の少ないものを探している、という場合も一文字弓がぴったり。特に女性であれば扱いやすく、長期的に利用できるところは嬉しいですね。
弓道弓のおすすめブランド・メーカー
山武弓具店
初心者から上級者まで多様なニーズに全て答える
弓具店と言ったら外せない大手メーカーが山武弓具店です。サイズや種類はもちろん、レベルに合った弓道弓を取り揃えており、多くの弓道経験者が愛用しています。弓道の始まりも終わりも山武弓具店、という方も少なくありません。
suizan雅
体への負担が少なく女性人気が高い
しなやかさと頑丈さを兼ね備えた弓道弓が特徴のsuizan雅。グラス弓の中でも最高品質のものを販売しており、特に女性や中級者以上からの人気が高いです。柔らかな引き心地が射形の美しさも引き出してくれます。
東山堂平安弓具
グラス弓やカーボン弓のラインナップが豊富
武道具業界最大の企業グループである東山堂に属する平安弓具。グラス弓やカーボン弓の品質が高く、特に安定性が光ります。裏反が平均的なため、初心者にも扱いやすい点も初心者に優しいですね。
曽根弓具店
和紙張シリーズと合わせておしゃれな弓道スタイルを確立
高い耐久性で長期の使用をサポートしてくれる曽根弓具店。射形の確認や弓力を鍛えることができるゴム弓は、初心者から上級者まで重宝します。付属品を鮮やかな和柄で彩った和紙張シリーズも人気の弓具店です。
おすすめ&人気の弓道弓ランキング
身長に合ったおすすめの弓道弓
山武弓具店-楓 (26,400円)
初心者向けの長さと弓力がリーズナブルなお値段で登場
標準的な並寸で多様な弓力を展開するグラス弓です。弓力6kgから使用可能であり、引く力が弱い初心者にうってつけ。弓を射るときの振動が少なく、使用者にも負担が少ない点は初心者にとって嬉しい点でもあります。
また、握り革には吟革が使用されており、柔らかくしなやかな感触も使用者に優しいです。その一方で耐久性にも優れ、初心者の猛烈な練習にも難なく耐えます。これから弓道を始めるという方におすすめの弓道弓です。
山武弓具店-翔 (43,230円)
弾力性に富み美しい射形を引き出す
射形を大切にしていきたい方にぴったりなグラス弓。一文字弓と呼ばれる形をしており、丈夫ながらも非常にしなやかです。弓を引いた後の反動が少ないため、初心者はもちろん、中級者以上でも射形を重視したい方におすすめ。
一方、弓力は10kg以上となっているため、力の弱い方にはあまりおすすめできません。ゴム弓などで力を強化しながら使用する方法はあります。艶やかな黒塗りが美しい弓道弓なので、見た目も重視したい方にもぴったりですね。
suizan雅-葵 (45,100円)
葵色が目をひく最高級グラス弓
多くの信頼と支持を獲得した最高品質のグラス弓。初心者から中級者の方に最適な柔らかさと軽さを兼ね備えています。弓力は8kg以上となっているので、男女ともに初めて弓道弓を購入するという方にもおすすめの一品です。
長さは並寸であり、使いやすさは抜群です。弓本来の弾性を十二分に引き出しているため、年齢問わず愛されています。美しい葵色の他、ウッドカラーバージョンもあります。特別感を感じながら弓道を楽しみたい方にもぴったりですね。
東山堂平安弓具-練心 (29,590円)
安定性抜群で的中率を上げたい初心者に最適
的前の練習を始めた方に最適なグラス弓。その安定性は弓を構えたときも矢を放ったときも十分に発揮されます。裏反は平均的で、実技や直心の間ほどと考えると良いでしょう。三寸伸なので、体格が良い方にぴったりです。
また、付属品としてついてくる握り革は8色から選べるようになっています。スタンダードな白や黒はもちろん、あまり見ることのない赤や青などもあり、個性を出しやすいです。カジュアルに弓道を楽しみたい方におすすめですね。
弓の引きやすさでおすすめの弓道弓
suizan雅-鵠心 (77,000円)
竹弓のようなフォルムがより冴えた矢飛びを可能に
木層3層構造で非常に丈夫なカーボン弓です。丈夫な弓道弓は十分に引くために強い力を必要としますが、鵠心は弓力を10%落としてもOK。ヴォールト構造という竹弓に通じる形が弱い力でも冴えた矢飛びをサポートしてくれます。
また、カーボン弓のトップクラスに君臨する直心シリーズの一端を担っているだけあって、その完成度は非常に高いものとなっています。安定性や引き心地にも優れているところも重要なポイント。中級者以上の方におすすめです。
山武弓具店-直心Ⅱ (52,800円)
男女兼用可能な弓力
弓力9kgから使用できるカーボン弓です。最大弓力は20kgにもなるため、弓道を始めて間もない男性でも使用できます。長さは並寸であり、多くの選手も愛用する汎用タイプといっても過言はありません。
また、セットの中には弓袋も入っています。5色から選ぶことができるので、自分好みの弓道セットを作り上げたい方にもおすすめです。握り革も4色から選ぶことができ、自分の弓に対する愛着がより一層わきますね。
山武弓具店-肥後蘇山 真 (44,990円)
肥後蘇山の安定性を受け継いで更に進化
弓を引き離した後の反動が少ないカーボン弓です。ねじれに強い炭素繊維を板版として組み込むことで、元となった肥後蘇山よりも更に安定性が増しました。弓を引く際のなめらかさは、力が弱い方や女性にとって扱いやすくしてくれています。
また、矢飛びの良さも肥後蘇山からしっかり受け継いでいるところも注目すべき点でしょう。握り革は8色から選ぶことができ、自分好みの弓道弓へ一工夫することができます。機能性とデザイン性どちらも大切にしたい方におすすめです。
suizan雅-凛(suiⅡ) (70,400円)
カーボン弓の最先端を行く高級弓道弓
グラス弓やカーボン弓の中でも最も軽いとされる凛。その軽さは新素材の使用と職人の細やかで時間をかけた仕事が実現しています。材料を選定する段階からコストをかけることで、最先端の高級弓道弓へと進化しました。
その軽さの分、弓全体が繊細な点がややデメリット。しかし、矢束を基準以上つがえない、引き尺をしっかり確認することで破損率を下げることができます。軽い弓道弓で練習したい女性や、繊細でも扱いきれる上級者向けの一品です。
重視するものでおすすめの弓道弓
曽根弓具店-ゴム弓 (1,870円)
射形を極めるときに必要不可欠
射形を美しくしたいと考えるならば1本は持っておきたいゴム弓。矢をつがえることなく、フォームを確認したり、動きの美しさを極めたりすることができます。コンパクトな形なので、屋内で練習するときにも使いやすいです。
また、的中率を上げるために必要な筋力を強化するときにも使えます。初心者向けと考えられやすいですが、上級者も正確な射法の流れを確認するときに重宝します。弓道を趣味として楽しみたい方はもちろん、本格的に学びたい方にもおすすめの一品です。
suizan雅-直心Ⅲバンブー (47,300円)
反動制御が強く初心者から上級者まで幅広く使用可能
木芯2層に加え、竹芯1層の3層構造で優れた耐久性を誇るグラス弓。芯の1つに竹が追加されたことで、矢を放った後の振動を抑えてくれます。また、竹弓に通ずる見た目の美しさも兼ね備えている弓道弓ともいえますね。
多様なダメージからの耐久性も群を抜いています。耐熱性や耐衝撃性はもちろん、耐疲労性にも優れたグラス弓です。異常破壊を引き起こすことが限りなく少なくなり、初心者をはじめ、中級者から上級者まで幅広く使用できます。
山武弓具店-特製 粋 (66,000円)
優れた復元力が的中率の向上をサポート
高い反発力と復元力を併せ持ったカーボン弓。その強さの秘密は、特殊なバイアスシートと高気密の炭素繊維にあります。これらが組み込まれたことにより、弾力性が上がり、より速く、より正確な矢飛びを実現しました。
また、弓の上下には金色のラメが光り、個性的な紫色も目をひくポイント。弓力の強さは11kg以上となっているので、ある程度の力が必要になってきます。的中率を上げたい中級者や上級者におすすめです。
suizan雅-仁 (59,400円)
軽さに加えて安定性を求めた凛の改良版
素早い矢飛びと矢勢を実現したカーボン弓。同メーカーの凛を改良しただけあって、その軽さは素晴らしいものです。捻れや歪みの他、矢を射った後の反動も十分に抑えられており、使いやすい弓道弓として人気が高いです。
その軽さと強さの秘密は、比重の軽い強化繊維を加えたことにあります。強化繊維を職人の手によって丁寧に組み込まれることで、バランスの良い裏反が形成されました。的中率を上げつつも軽い弓道弓が欲しいという方にぴったりです。
横山黎明弓製作所-都城大弓 (414,000円)
これぞ本物の竹弓ともいうべき伝統大弓
真竹とハゼという天然素材を利用した竹弓。あまりの高級さに目が飛び出てしまうのも無理はありません。200以上もある工程を経て完成する大弓は、すべて1人の職人によって作られている点にも驚きです。
都城の大弓は江戸時代から高い名声を誇っており、製法は昔から継承されています。まさに日本古来の伝統弓ともいうべき都城大弓は、矢勢にも富む名弓です。弓道の上級者がいずれ手にしたいと願う弓道弓ではないでしょうか。
弓道弓のお手入れ方法
竹弓は裏反が大きくならないように細やかな手入れを
竹弓は弦を外したままにしておくと、元の形に戻ろうとする力が働きます。これを裏反と呼びますが、日常的に弦を張っておくことで防ぐことが可能です。また、高温多湿を避けて保管することも大切になってきます。竹弓の形がおかしかったり気になったりする場合は、購入した店舗へ相談すると安心ですね。
グラス弓やカーボン弓は使用後に拭くだけでOK
一方、グラス弓やカーボン弓の表面上は強い素材なため、竹弓ほどの手入れは必要ありません。使用後に軽く拭くと、綺麗な状態を保つことができますし、自然と愛着がわいてくることでしょう。ただし、芯材は木材のため、竹弓と同じく湿気には注意が必要です。高温多湿を避けて保管すると、美しさと機能性を保つことができるでしょう。
まとめ
グラスで引きやすい弓道弓がおすすめ
弓道弓を購入するのなら、グラス弓で引きやすいものがおすすめです。グラス弓であれば、比較的リーズナブルな価格で耐久性の高いものを手に入れることができます。また、振動が少なく引き心地がなめらかな弓は、体への負担が少なく美しい射形を保つことができるでしょう。今回は弓道弓について、おすすめのものをランキング形式で紹介しました。自分の目指す弓道像を描きながら、弓道弓を選んでみてくださいね。