アコースティックギターやバンジョーなどを弾く時に便利な、サムピック。低音を際立たせたい時に重宝します。ですが、素材や形など様々な種類のサムピックがあるので、どれを使ったら良いのか迷いますよね。そこで今回はサムピックの特徴と、おすすめのサムピック13品をご紹介します。音の響き方の違いなども含めてくわしく解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
サムピックの特徴
親指に装着して低音域を奏でる
サムピックとはThumbPickと書き、その名の通り親指に装着して、主にギターの4弦から6弦を奏でるためのピックです。親指を伸ばして爪弾くので、アルペジオ奏法の正しい姿勢が身につきます。また、一般のフラットピックの場合は、ストロークとアルペジオの奏法を切り替えるのにコツが必要ですが、サムピックなら容易に切り替えられます。
アルペジオ奏法を行うときに低音が際立つ
音を順繰りに奏でていくアルペジオ奏法では、指だけで弾くと低音が埋もれてしまう場合も。サムピックを使えば、指で弾くよりもはっきりとした輪郭のある低音が出せます。サムピックを使って低音をしっかりさせると、音楽が引き締まるメリットがあります。
フィンガーピックとの違い
フィンガーピックは親指以外に使用する
親指以外の指にも装着できるピックもあります。フィンガーピックと言い、指にはめると爪の延長のような形状になります。それぞれの指にはめて使うので、爪がなくてもくっきりとした音が奏でられます。
サムピックの種類
プラスチック製
しなりやすくて初心者でも扱いやすく削ることも可能
指に近い感覚で使用できるので、素直な音が出しやすく、初心者でも安心して使えます。安価なので、いろいろな種類のサムピックを試してみたい方にもおすすめです。種類も豊富で、サムピックに最も使われている材質です。
プラスチック製のサムピックは、削ることで自分の感覚にぴったりのものに調節できます。荒いやすりで削ってしまうと、ピックがガタガタになり音が悪くなってしまいます。削る場合には、目の細かい爪やすりなどで丁寧に処理すると、良い音色を奏でられますよ。
金属製
力強い音が出る
金属製のものは力が弦に伝わりやすく、少し硬めの音が出ます。メタルならではのギラギラした強めのアタックで、明瞭ながらも力強いのが特徴です。すり減らないので、ひとつ持っていれば十分で長く愛用できるのもメリット。
初心者には扱いがむずかしく、うまく脱力ができないと弦が切れてしまったり、弦とピックが擦れてノイズが入ってしまったりと、聴きづらい音になってしまうことも。ですが、使いこなせれば、際立った音がクールに響きます。上級者のギタリストなら使ってみたいピックです。
べっ甲製
優美で艶やかな音が出る
他の材質に比べて格段に音が良く、のびやかで聴き心地の良い音が出せます。くっきりと音が粒立ち、高級感のある音です。耐久性は高くありませんが、まるで自分の指で爪弾いているような感覚が得られるため、根強い人気のある材質です。
本べっ甲は、タイマイという海亀の甲羅からできています。輸入するのにワシントン条約で制限がかかっているので、希少で高価。天然素材なので反りや虫食いが起こる可能性がありますが、お手入れをすれば長く愛用できます。高級でも間違いのないピックを選びたい方におすすめ。
サムピックの選び方
形状で選ぶ
オールマイティに使いたいならノーマルピックタイプ
最も一般的なサムピック。ノーマルピックタイプなら単音弾きとストロークのどちらもこなせます。広く知られている一般的なフラットピックと違い、親指が弦に触れる感覚もあるため、指弾きの延長のように使えます。角度のついているものもありますが、ギターに対する手の角度に合わせるなど、自分用に削ってカスタマイズして使う人も多いです。
ストローク重視ならPOPピックタイプ
フラットピックのような、ティアドロップ型やトライアングル型のサムピック。面が広く、親指が弦に触れることがないので弦の感覚は掴めませんが、フラットピックのように使え、音を重ねて出すようなストロークに適しています。ストロークとアルペジオの切り替えもスムーズです。指から外れないフラットピックとして使いたいなら、POPピックタイプがおすすめ。
単音弾き重視ならスピードピックタイプ
ノーマルタイプと比べても先端が細いので、速弾きするのに適しています。弦に触れる面が少ないので、ストローク弾きには適していませんが、ジャズを奏でるのにぴったりです。また、ノーマルタイプを削って先を細くして使う人は、一度スピードタイプを試してみるのもおすすめですよ。心もとないと思われがちですが、意外と弾きやすいと評判です。
硬さで選ぶ
しっかりした低音を響かせたいなら硬いものを
硬めのピックは、音が際立つ傾向にあります。パンチのある音を出したい場合には、同じ厚さでも硬さのあるものを選ぶと良いでしょう。また、硬いピックを使っていると、ギターの上達が早くなると言われています。個人の技術が素直に音に現れるので、硬いピックで良い音を出せれば、柔らかいピックでも自在に使いこなせるでしょう。
音の強弱を抑えたいなら柔らかいものを
柔らかいものほど、指で直接弾くような感覚に近くなります。良くしなるのでアタック感もきれいで柔らかく、太く安定した音が出せるのが特徴です。どっしりとして輪郭も力強い音を出しやすく、ハードロックのように曲を重く仕上げたいときにもおすすめです。弾きやすく奏者を選ばないので、初心者だけでなく上級者にも愛用されています。
厚さで選ぶ
コード弾きするなら1mm以下の薄めのものを
コード弾きは、低音の響きの良さと、和音のバランスが取れているものの方が耳に心地よいです。厚さが薄いものは、音の線が細くきらびやかな音質になるので、かき鳴らしてもうるささを感じません。このため、ストロークのようにジャンジャンと同時に複数の弦を鳴らす場合には、ピックは薄めのものを使う方が、華やかに聞こえるのでおすすめです。
単音弾きするなら1.5mm以上の厚めのものを
一音一音を丁寧に聞かせたい場合には、しっかりと弦に力が伝わり、弾く力が強い厚手のものがおすすめ。ほとんどしならないため、低音が際立ち、重厚なサウンドになります。アルペジオを多用するなら、厚めのタイプを選ぶと良いでしょう。レスポンスも良いので、ソロを力強く弾きたかったり、速弾きしたりする場合にもおすすめです。
サムピックのおすすめブランド・メーカー
YAMAHA
日本が誇る楽器メーカー
YAMAHAは世界的に有名な、日本有数の楽器メーカー。間違いのない精度の高い製品で、安定した品質には定評があります。ピアノの生産量は世界首位で、ピアノの他にも100種類以上の楽器を製造しています。
JIM DUNLOP
アメリカ有数の音楽アクセサリーメーカー
ギターやベースのアクセサリーを扱っているメーカー。品質の高さに定評があり、愛用者も多いです。特にエレキギターの音色に変化をつける、クライベイビーというワウペダルは有名で、人気が高いです。
TAB
1991年に設立された日本のアコギ商品メーカー
ギタリスト打田十紀夫のプロデュースで設立されたピックメーカー。ユニークな商品が多いですが、プロのギタリストが監修しているので使い勝手が良く、根強い人気があります。特にTABSpecialというサムピックが有名です。
Fred Kelly
サムピックにこだわったピックメーカー
ギターやバンジョー用に特化したピックメーカー。特にサムピックが有名で、中でもスピードピックは、初心者から上級者まで幅広い層の支持を集めています。ラインナップも豊富で、用途に合わせたサムピックが選べます。
おすすめ&人気のサムピックランキング
プラスチック製でおすすめのサムピック
TAB-TAB Special II(520円)
指のサイズに合わせてベルト調節できる
指の太さに合わせてベルト調節できるのは、サムピックの中でも珍しいタイプ。ギタリストがあったらいいなと開発したものなので、使い勝手の良さが違います。どのサムピックが自分に合うかわからない場合に、まずは試して欲しい一品。
硬さはTHINとMEDIUMとHARDの3タイプあり、用途に合わせて選べます。しなりがよくて使いやすく、愛用者の多いサムピックです。カラーも豊富で、演奏の雰囲気やギターの色に合わせて使えます。
Fred Kelly-Delrin Speed Picks(165円)
ソロプレイに最適
FredKellyの代名詞ともいえるサムピックです。ジャズや、ソロプレイなどの単音弾きに適しているスピードピックタイプで、しなりも良く、弾きやすさが抜群です。速弾きができる中級者以上に特におすすめ。
先端が細いのでストロークには向きませんが、音の立ち上がりが速いので、速弾きにぴったりです。材質はデルリン製で滑らかな弾き心地で使いやすいです。指にフィットするので、手にかかる負担が少ないのも特徴。
YAMAHA–Thumb Pick(300円)
オールマイティに使える
丁寧なつくりで、値段の割に高品質のサムピックです。個体差が少なく、安定した品質を求めている方におすすめです。また、使っているうちに先が削れても、引っ掛かりが少ないので長く使えます。サムピック初心者でも安心ですよ。
プラスチック製ならではのシンプルな音色で、奏者を選びません。ストロークにもアルペジオにも使えるため、ひとつ持っていると便利な一品です。フィット感があり、汗ですべってしまうという心配もありません。
Jim Dunlop-White Plastic Thumbpicks(165円)
初心者におすすめなオーソドックスなサムピック
最も定番のサムピック。サムピック初心者が購入に迷ったら、まずはこのサムピックから試してみるのが良いでしょう。スタンダードで入手もしやすく、値段もリーズナブルなので、気軽に試せるのもおすすめポイント。
厚さはミディアムで、扱いやすいです。また、少し硬めな弾き心地で、しなり具合や音色も標準の性能なので、他のサムピックを購入する時の基準としても役立ちます。素直で安定した音を出したい人にも最適です。
Black Mountain Picks-Black Mountain Thumb Pick(770円)
フラットピックのように使える
ティアドロップ型のPOPピック。スプリングを使用しているので、通常のサムピックより柔軟性があり、フラットピックのような使い心地になっています。快適さと安定感のバランスが良く、弾きやすさが特徴です。
アルペジオとストロークを織り交ぜる演奏がスムーズにできます。表現の幅が広がるので、オリジナリティのある演奏をしたい人におすすめの一品。ナイロン製なので柔らかく、しっかりとした太い音を奏でられます。
KIKUTANI-POP PICK サムピック6枚(660円)
セルロイド製ですっきりした音色
硬くて薄い、少しめずらしいタイプのサムピック。しなり方が程よく、すっきりとした音色を奏でられます。薄いので、ハサミで切ったりやすりで削ったりと、自分好みに加工がしやすいのも特徴のひとつです。
アップストロークもしやすく、コード弾きをしてもストレスがありません。角度がついていないので、フラットピックに持ち替えてもほとんど違和感なく使えます。音の粒立ちが強いので、単音もくっきりと聞こえます。
augusta-山崎まさよし オリジナルピック(248円)
指で弾く感覚に近い角度のついたサムピック
絶妙な角度が弾きやすい、POPピック。シンガーソングライターの山崎まさよし氏が考案したサムピックで、長時間使用していても疲れません。アコースティックギタリストのために考えられた、サムピックです。
フラットピックとしてもサムピックとしても使えます。アルペジオとストロークの切り替えもスムーズにでき、曲を選ばずに弾けます。角度があるので、ギターに対して、深い手の角度で弾く人におすすめです。
TAB-フラットピック nine9(550円)
演奏中に飛ばないフラットピック
TABSpecialの性能を生かした、フラットピックのように使えるサムピック。ベルトで親指の形にフィットさせられるので、汗ですべることがなく、演奏中に親指から離れません。安心して演奏に集中できます。
硬さはTHINとMEDIUMとHARDの3タイプ。形状もトライアングル、ティアドロップ、タテ型の3タイプあるため、合計9種類の中から自分や楽器にあったサムピックを選べます。全てのギタリストにおすすめできるサムピックです。
テリーゴールド-サムピック(110円)
初心者から熟練者まで使えるサムピック
扱いやすいとの評判で、愛用者の多いサムピック。歴史のあるメーカーのもので、間違いのない一品です。先端が細めで指で弾く感覚に近いサムピックで、フィット感が強いのも特徴です。とても柔らかなサウンドを奏でますよ。
種類は4つ。形状はノーマルタイプと先が細いスピードタイプがあり、プレイスタイルにも合わせて選べます。ノーマルタイプは薄さが1.0mmと1.5mmの2種類あり、ナチュラルなサウンドが欲しいなら1.0mmのものを、通常のアタック感が欲しいなら1.5mmのものを選べます。
金属製でおすすめのサムピック
Jim Dunlop–メタル・サムピック(220円)
自分の指の形に合わせられる
これぞメタルと思わずうなってしまうような、高品質のサムピック。アタックが強く倍音も豊かなので、クールな演奏を好む方におすすめです。低音が深く、響きが良いのも特徴。ひとつは持っておきたいサムピックです。
プラスチック製と違い、自分の指の太さや形に合わせて素手で曲げられます。金属製で削れることがないので、長く愛用できるのも嬉しいポイント。エッジに返しがあるため、引っ掛かりがなく弾けるのもおすすめです。
Propik-Metal Thumb Picks(1,320円)
グリップ力があり指が疲れない
熟練者からの支持を集めるメタルピック。全てアメリカでひとつひとつ手作りされています。音が出やすく、軽めに弾いてもキレが良いのが特徴のひとつ。金属ですが、ナチュラルな感覚で音を響かせられます。
長時間つけていても痛くならない、良く考えられた構造。オールニッケルで軽いつけ心地です。グリップ力があり、激しい演奏でも飛んでしまう心配がありません。力を入れても痛くならず、長いライブにも耐えられます。
べっ甲製でおすすめのサムピック
HOSCO–本鼈甲ギターピック サムギターピック ラージ(4,785円)
指になじんで長く使える
丸みのある音で、指の爪で弾く感覚に近いのが特徴です。弦とサムピックとの摩擦音も少なく、プラスチック製と比べても抜群の弾き心地です。低音の質感が良く、他の指で弾いている高音域の音色を邪魔しません。
天然素材で色や柄に個体差があるので、世界で唯一の個性あるサムピックになります。マイルドでありながら、芯のあるきれいな音色です。レスポンスも良いので、一度手にしたらやみつきになるサムピックです。
名城商会–本鼈甲ピック サムピックM(1,760円)
厚さ1.2mmで本べっ甲の音色を存分にいかせる
少し厚さが薄めのサムピック。明瞭で、べっ甲ならではの優美な音色が響きます。ひとつひとつ職人の手で作られた逸品ぞろいで、品質も安定しています。見た目にも美しい、ギタリストなら一度は使ってみたい憧れの品ですね。
高品質で安定した厚さの本べっ甲のサムピックは希少。手に入れるのは日に日に難しくなっています。在庫に限りがあるので、早めの入手がおすすめ。天然素材なので、入手後はお手入れが大事になりますが、その価値が十分にあるサムピックです。
まとめ
プレイスタイルにあったサムピックがおすすめ
サムピックには、主にノーマルピックとPOPピックとスピードピックの3種類があります。幅広く使いたいならノーマルピックを、飛ばないフラットピックとして使いたいならPOPピックを、速弾きをしたいならスピードピックがおすすめです。演奏したい曲やプレイスタイルに合わせたサムピックを使って、オリジナリティ溢れる素敵な音楽を楽しんでくださいね。